自分が輝ける場所を求めて

 

———持永さんは普段どのくらいの頻度で走ってますか?

最近は週一くらいかな。この間の〈名古屋ウィメンズマラソン〉に出たとき、目標だったサブ4(※フルマラソンで4時間を切るタイムで走ること)を達成するのが結構キツくて、40km地点で具合が悪くなったんです。限界を感じながらも、それでも目標達成のためにがんばった結果、ギリギリの(3時間)57分でした。達成はできたけど、その瞬間に何かが弾けてしまって、それから走るモチベーションがあまりなかったんです。でも、最近また走り始めたんですよ。

——何かきっかけがあったのでしょうか?

私の周りに楽しむために走ってる子が多いんですよ。ダイエットのためとか、「何かをやらなきゃいけない」というマインドじゃない。あくまで楽しみながら走る、というスタイルです。例えば「ご褒美ラン」をしたり。

——「ご褒美ラン」?

走り終わったら、そのまま一緒に温泉に行ったり、海鮮丼を食べたりするんです。「ご褒美」をつけると楽しくなる、っていう。それに1人で黙々と走るよりも、友達と一緒のほうがやっぱり楽しいですから。「ご褒美ラン」が始まったのは、モデルやタレントの友達と一緒に「ミッドナイトおのぼりラン」というのをやったのがきっかけです。夜中の2時に渋谷からスタートして、東京タワーや武道館などの観光名所を巡りながら、朝7時頃に築地に着いてそこで海鮮丼を食べる、という(笑)。レースに出るとなるとどうしても頑張りたくなるから、普段は楽しむことを優先して、レース前にはタイムを狙った練習をする、というふうに切り替えることを意識しています。

——持永さんはランニングのほかにもトライアスロンやキックボクシング、ロードバイクなど、かなりたくさんの競技をされてます。どのように広がっていったのでしょうか?

数年前にモデルの方たちの中でヨガが流行っていた頃があって、その時私もヨガをやっていたんですね。でも、例えばオーディションで「ヨガをやってます」とアピールしたとしても、みんながやっているから差別化にならないじゃないですか。だから何か違うスポーツをやろう、と思ったんです。それで、全身運動ということもあって、キックボクシングを始めました。最初はフィットネス会員だったんですけど、次第にこのクラスで一番上手になりたい、もっと強くなりたいと思うようになり、その次は試合に出てみたい……と徐々に大きな目標を掲げるようになって、2016年の8月にキックボクサーとしてデビューしました。

——「(スポーツ選手として)強くなりたい」という思いには、「ほかのモデルに負けない」という思いも含まれていましたか?

キックボクシングをやり始めて楽しくなってきた時に、ただ(エクササイズ程度で)やっている人はいたけど、試合に出るレベルのモデルさんはいないことに気づいて、これは特技になるんじゃないかって思ったのはあります。それに、体つきが変わるのはもちろん、試合前になるとストイックにトレーニングしないといけないので、精神面も鍛えられるんですね。マラソンもそうなんですけど、つらくて挫けそうになる瞬間を乗り越えてやり遂げた時に、自分が無敵になったような気がするんです。マリオがスターを取った時のような……。そういう感覚が重なることで自信につながっているとは思います。

——一方でトレーニングによって体格が変わったことで、できなくなるモデルの仕事もあるのでは?

めっちゃあります。一度トレーニングでかなり追い込んでいた時にウェディングの撮影があったのですが、お花を持ったら上腕二頭筋がムキッって……(笑)。ただ、最近はファッションの撮影の中でも、服を綺麗に見せなきゃいけないものは減って、逆にスポーツウェアやトレーニングの撮影に呼んでもらえることが増えています。自分としても、これからは「フィットネスモデル」という枠組みで、もっとたくさんのお仕事ができたらいいなと思っています。

——数年間をかけて、唯一無二の存在になれるように積み重ねてきたわけですね。

モデル業を始めた時は仕事も少なかったし、ファッションのモデルをしたいと思えば思うほどできませんでした。ほとんどの人が雑誌の表紙を飾りたいし、TGC(※東京ガールズコレクション)のランウェイを歩きたいと思って活動している。しかも、若くてカワイイ子は次々と出てくるわけです。そんな中で、背も高いわけじゃなく、特徴に乏しい自分は同じ土俵じゃとても戦えないなって、どこかで思っていた。じゃあ私は違う道へ行こう、と。それがたまたまスポーツだったわけです。今はそういう(スポーツのジャンルで活躍する)モデルさんも増えてきてはいますが、まだまだ少ないので、ここが自分の一番輝ける場所かなって思います。