大宮の小さな喫茶店「美美族(みみずく)」には、1979羽のミミズクが住み着いている。とはいっても、その姿形は本物ではない。ぬいぐるみ、竹細工、木彫り、ステンドグラス、壁掛け時計、陶器、絵画、クッションなど、とてもひと目で把握できない量のグッズが所狭しと並ぶ。

「1979羽」という数字は2018年2月3日時点のもの。買うたびに数えて忘れないようにしているそうだ

この店の店主・南 哲(みなみ・ただし)さんは、小学生の頃から医療器や半導体に使用されるレンズの研磨職人だった、という珍しい経歴を持つ。55年の間、大手メーカーのを支える裏方として自宅の作業場で静かに貢献し続けてきた彼は、視力が衰えたことと、妻が大病を患ったという理由から、約20年前にコーヒー豆の焙煎・販売業を始めた。するとそんな話を聞きつけた友人が「このおいしいコーヒーを飲める場所を作ってほしい」と口を揃えてリクエスト、喫茶店を開くことになったそうだ。

ミミズクブレンド、350円。後味スッキリ。

 

その段階で持っていたミミズクグッズはわずか10点ほどで、もともと奥さんが好きで持っていたものとのこと。以来、自分も一緒になって集めるようになった。

「それで私も買っていたら、気づいたらこんなにね。毎年掃除も大変だし、もう置く場所がないから極力買わないようにしています。持っているものなら絶対に分かるから、同じものは買わないし。もう…とにかく、管理が大変でね(笑)。」

入り口近くの窓に飾れているのは、奥さん自作のステンドグラスだ

そこから奥さんの話をたくさん伺った。病気を患ってしまった奥さんは、外へ出たりするのも難しい時があること。喫茶店を開いた理由には、奥さんがお客さんとコミュニケーションをとることで、外へ出なくても気晴らしできるんじゃないかと考えたこと。実はミミズクグッズの9割は奥さんが買ったもので、店を奥さんにとっての理想の空間にしようとしていること。

最後に南さんは今の楽しみを教えてくれた。
「一番は笑顔になることですね。笑うこと。ここらへんに住んでる人や、遠くから来てくれる人も、もちろんコーヒーを飲みたいというのもあるかもしれないけど、それよりも喋りに、笑いに来ているんだと思います」