カメラを肩からぶら下げて、北戸田を歩く。改札を出て街を一望。

肌に触れる空気ですぐに察することができる。

ここは「背伸びをしたドラマ」が起こる街ではなく、人々が等身大に過ごす街だ。

見晴らしの良い荒川の土手の上、休日の風の中で走る人、歩く人、自転車に乗る人。

この街に住む人のごく自然な休日なのだろう。 

 

暫く歩くと、視界の中に荒川水循環センターが目立つ。

この街の生活を支えている様が、その規模から伺える。高いところに登って、街全体を見渡してみる。

美女木ジャンクションから十字にのびる高速道の下、ゆったりと広がる街並み。

ちらほらと見える工場、運動場、そして住宅。

 

北戸田という街が、ゆっくりと腰を下ろして一つ息をつくところだと、その景色から見てとれる。

この街を出発して、そして、この街に向かって帰ってくる。 きっとそういう場所なのだろう。

「訪れる人間」としてではなく、「帰ってくる人間」として、北戸田の改札を出てみたかった。

そんなことを考えながら、改札を越えて僕は帰路についた。