戸田という町が持つ可能性

――お二人は、もっと戸田がこうなったらいいのに、と思うところはありますか?

犬飼 もっと横のつながり欲しいなあ、と思ってます。街のファシリテーターみたいな人を入れて、プラットフォームを作ればうまくいくんじゃないでしょうか。

内沼 そのためにも、もっとお店が増えたらいいと僕は思います。喫茶店や飲み屋のマスターが地域の人の会話のハブになって知り合いが増えるって、実はとても大切だと思うんですよ。

――会話が蓄積されたり誤配されたりする役割として、店が必要だと。

犬飼 それはありますよね。昔は人との直接的なつながりがないと、ビジネスができなかった。なので否が応でも対話をはかっていたけど、今は個々に稼げるようになったことで減ってしまった。仕事で人々が繋がりにくいとなると、今度は遊びで繋がるしかない、というのが持論です。

——エウレカコンピューターさんのようなIT企業が地元・戸田にあるのを見て、内沼さんはどう感じますか?

内沼 僕は正直、戸田には何もないイメージがあったんですよね。電車で東京に行かないと、面白いことはないと思ってた。そんな場所にエウレカさんみたいな会社があるのは、すごく新鮮です。僕自身は、自分の今の商売や人とのつながりを考えると、東京にいないと難しい部分はあります。でもこうして、エウレカの入り口のファサードを眺めていると、今この場所に移るということのかっこよさを、すごく感じるんですよ。

――その姿勢こそ、クリエイティブだと。

内沼 そうなんですよ。クリエイティブの未来を感じるんです。

犬飼 おお、未来!

内沼 地元なんで、中高生の時はダサいと思ってしまうわけですよ。昔から「埼玉はダサい」って言われて育ったこともあって。でも犬飼さんたちはそこを飛び越えて、「近いし、広いし、便利だよね?」みたいな気持ちで戸田をチョイスできる。その感覚がかっこいいなあと。

――でも今回の取材で、戸田生まれ戸田育ちで、地元にお店を持ちたいという若い人もたくさんいらっしゃいました。

犬飼 世代かもしれないですね。つまり、彼らはマーケティングできるようになったんですよ。インターネットを使って、必要な条件で検索した結果、正解がわかるようになった。

内沼 なるほど。僕が感じたようなしがらみがないのかもしれませんね。

犬飼 検索の仕方さえ教えてあげれば、上の世代の人も来やすくなるかもしれませんよね。

内沼 戸田は「正解」ってことですね。

犬飼 大正解ですよ! だってIT企業の僕らが、世界規模の客観的Web検索の果てにたどり着いたこの上ない場所なんですから。

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