秋がその本格的なはじまりを告げようとしていた土曜日の午前、戸田駅から10分ほど歩いたところにある戸田第一小学校がお祭りのような賑わいを見せていた。中に入ってみると、これからソフトグライダーの大会が開催されるようだ。普段着から剣道着、野球のユニフォームまで思い思いの格好をした小学生たちが続々と会場である体育館へと入っていく。中には焦ってスニーカーを脱ぎそこねる子も。早く参加したくて仕方ないという様子である。

こちらの大会、本サイトでも以前ご紹介したツバメ玩具製作所が協力しているとのことで、子どもたちが使用するグライダーのクオリティはお墨付き。

朝10時に開会式がスタート。子どもたちがミュージックベルで「星の願いを」を演奏すると、お次は若き市長・菅原文仁氏による開会の言葉。はじめに「おはようございます!」と挨拶すると、すぐさま10倍の勢いで「おはようございます!!!」と返ってきた。この時点ですでに彼らのテンションは最高潮。開会式が終わるとすぐにグライダー大会の受付には長い列ができていた。

本番前にまずはテストタイム。競技は空中輪くぐりと着地の2種類が用意されているが、なかなかうまく投げ込むことができない。あれ、こんなに難しかったけ……?子どもたちは羽やプロペラを微妙に調整しながら何度も練習を繰り返していた。誰も大人に頼らず、黙々と投げ続けていた姿が印象的だ。

親子三代受け継がれてきたツバメ玩具。そのクラシカルなパッケージデザインは時代を超えて残るだろう。今は赤ちゃんの頃からタッチパネルに慣れ親しんでしまうような時代だが、こういうアナログなおもちゃを使った遊びの魅力は全く色あせない。それが筆者の単純な郷愁でないことは、子どもたちの熱狂ぶりからも明らかだった。

この日の体育館ではグライダー大会の他にも、地域の子ども会が主催するフリーマーケットやボーリング、剣道体験などが同時開催。フリーマーケットでは子どもたちが自ら考えた店舗が並び、手作りのエアホッケー大会なんてものも催されていた。大人はほとんど介入せず、子どもたちによってきちんと自治されている。そこは、子育てに力を入れている戸田ならではの「街」の活気に満ちあふれていた。

さて、いざグライダー大会の本番がはじまると、さきほどまで和気あいあいと練習していた彼らも何やら真剣なムードに。思い思いのやり方で、2種類の競技にチャレンジしていた。

ぼんやりとした表情の子がさらっと高いポイントを獲得したり、逆に考え抜いた末に立て膝で投げる方法を思いついたものの一つもうまくいかない子もいたり(彼はずっと「なんで曲がってしまうんかな〜」とぼやいていた)。きれいな飛行が決まると大人たちからも歓声と拍手が飛び交い、オーディエンスとして見ていて飽きることがなかった。

地元で作られたおもちゃで遊ぶ。そんな、今となっては貴重になってしまった体験を思う存分楽しんだ子どもたちは、大会が終わった後の体育館でも延々とグライダーを投げ続けていた。