戸田市には密かな名産品がある。それがハチミツ「TODA HONEY」だ。ガラス瓶のふたを開けると芳醇な香りが漂い、糖度80パーセントの蜜は透明で、舐めると濃厚な甘みが口いっぱいに広がっていく。

TODA HONEY(1000円)

このハチミツ、実は戸田市商工会館の屋上で採取されている。ミツバチを育てて蜜を採取するのは、戸田市商工会女性部の方々だ。

部員が屋上を訪れるのは、だいたい週に1回。巣箱を一つひとつ覗いてハチの様子を確かめていると、周りを無数のミツバチがブンブンと飛び交う。防護用のマスクや軍手をしているとはいえ、怖くはないのだろうか。

「ハチさんは怒ると黒い色のものを狙って攻撃しようとするけど、何もしなければおとなしいのよ」

みな声を揃えて「ハチさん」と呼ぶ。巣箱から取り出した板にはハニカム構造の巣が生成されていて、そこにもハチがびっしりとうごめいている。

白い印がついているのが女王バチ。

「あっ、ほらいた!女王さん」

小さなミツバチのなかでひときわ目を引くのが、体格の大きな女王バチだ。巣にたった一匹しか存在せず、この集団を率いている。女性部ではだいたい週に一度は定期的に巣箱の様子をチェックし、女王バチや働きバチたちの状態を確かめているという。採蜜を行うのは年に2回ほどだ。

汗だくになりながら4つほどの巣箱の様子を確かめて、巣箱の周りで寿命を迎えたハチたちを優しく取り去ると、今日の作業は終了だ。

働きバチの寿命は1〜2ヶ月ほど。せっせと蜜を運び、その一生を終える。

麻をいぶして煙を出す燻器。ハチが近寄りにくくなる。

部長を務める長谷川冨美子さんは、「部長なんてそんな。代理なんですよ」と笑いながら、この女性部の活動について話してくれた。

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